インフルエンザワクチンの効果は?受ける意味はあるの?

医療記事

こんにちは。棒磁石(@magnet_med)です。

 

先日、インフルエンザに関する記事を書きました。

インフルエンザとは?予防法は?病院へ行くタイミングは?
こんにちは。棒磁石です。 寒くなって空気も乾燥し、インフルエンザの流行する季節になってきました。 棒磁石 私は先日予防接種を受けてきました! 今年も流行の兆しが見えてきた、というニュー...

今回は、この記事にプラスアルファの内容として、「ワクチン」という側面でお伝えしたいと思います。

ネット上を見ていると、インフルエンザのワクチンに対する誤解が蔓延している気がするので、

これを読んだ人は、ぜひワクチンに関する理解を深めてくださいね!

 

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日本におけるワクチン接種

予防接種

ワクチンはインフルエンザの有効な予防法で、流行のピーク(1月~3月)が始まる前に接種しておくことで、インフルエンザの発症及び重症化を防ぐことができます

ワクチンの回数については、

  • 13歳以上の健康な人 ⇒ 1回接種
  • 13歳未満の人 ⇒ 2回接種

となっています。

これは、免疫機能が発達しきっていない子どもでは、1回接種では十分な抗体が獲得できない可能性があるから、と言われています。

同様の理由で、慢性疾患を持っている人、リスクの高い高齢者などは、医師の判断により2回接種を推奨する場合もあります。

なお、健康な成人が2回接種しても、抗体のレベルは1回の時と大して変わらない、という報告があるそうです。

棒磁石
棒磁石

ワクチンの数は有限なので、必要な人に2回接種の機会が作れるといいですね!

 

ワクチンに効果はあるのか?

インフルエンザワクチンを接種しない人の意見として、「打っても変わらない」というものがあります。

先に言っておくと、明らかにワクチンに効果はあります。ただし、実感しづらいのも確かです。

インフルエンザワクチンの予防効果

ウイルス

インフルエンザワクチンには、インフルエンザの発症を予防する効果がありますが、他のワクチン(麻疹、風疹、水ぼうそう等)のように、劇的に発症の可能性を下げることができる、というものではありません

ワクチンの添付文書によると、以下のようになっています。

インフルエンザHAワクチンを3週間閣で2回接種した場合、接種1カ月後に被接種者の77%が有効予防水準に達する。接種後3カ月で有効予防水準は78.8%であるが、5カ月後では50.8%と減少する。効果の持続は、流行ウイルスとワクチンに含まれているウイルスの抗原型が一致した時において3カ月続くことが明らかになっている。

要点をかいつまむと、以下のようになります。

  • 多くの人は接種後1か月で十分な抗体がつく
  • 予防接種の効果が持続するのは、接種後3カ月程度である
  • 流行ウイルスの型とワクチンの型が異なる場合、効果が薄いことがある
棒磁石
棒磁石

だから早めのワクチン接種が大事なんですね!

 

ちなみに、日本国内の調査によると、インフルエンザワクチンの有効率はおよそ60%と言われています

この意味をはき違えている人が多いですが、有効率60%とは、「ワクチンを接種すると60%の人が発症を防ぐことができる」という意味ではありません

「ワクチンを接種しなかった人が発症するリスクを100%とした場合、接種した人が発症するリスクが、相対的に60%減少する

という意味です。

棒磁石
棒磁石

????

何を言っているのか分からないと思うので、図で説明します。

インフルエンザ図1

こちらが一般的な「有効率60%」のイメージです。

接種した人と接種しない人を10人ずつ集めると、接種した人は4人発症、接種しなかった人は全員発症というイメージですね。

6人の発症を防げてるイメージがありますが、なんだか違和感がありますよね。

棒磁石
棒磁石

予防接種しなかった人は全員発症するわけではないですし

 

インフルエンザ図2

そしてこちらが正しいイメージ。

予防接種を受けなかった場合に発症する人のうち、60%の発症を防ぐことができる、と言うのが正しい解釈です。

この図では、予防接種を受けなければ10人中5人が発症するはずでしたが、予防接種によってその60%(5人×60%=3人)には発症を防ぐことができたということになります。

 

インフルエンザは、麻疹や風疹などとは異なり、過去の感染等によって若干抗体を持っている場合があります。

そのため、上の図で言えば予防接種しなくても発症していない5人のように、そもそも発症しない人が大勢いるのです。

ワクチン無しでは多くの人が感染してしまう麻疹とは事情が違うため、なんだかインフルエンザワクチンは効果が薄いように見えてしまうのです。

 

ここまで読んで、

じゃあやっぱり接種する意味ないんじゃない?

と思った人、ぜひ続きを読んでください。

 

インフルエンザワクチンを接種する意味

風邪を引いた熊

インフルエンザワクチンの最大の効果は、「重症化の予防」です。

先日の記事に書いた通り、インフルエンザは時に重症して肺炎やインフルエンザ脳症を起こし、命すら奪ってしまう可能性があります。

現実に、年間1,000人以上がインフルエンザによって命を落としています。

特に、「ハイリスク群(合併症のリスクが高い人)」に該当する方は注意が必要です。

  • 65歳以上の高齢者
  • 小さなお子さん
  • 慢性呼吸器疾患を持っている人(喘息など)
  • 心臓血管系疾患を持っている人
  • 薬や感染によって免疫状態が低下している人
  • 妊婦さん

これらの人に関しては、必ず予防接種を打ってほしいです

国内の調査によるとワクチン接種によって、死亡リスクを82%減らすことができた、というデータもあります。

 

身近に上記に該当する方も、その人のためを思えば接種するべきでしょう。

確かに若い健康な人では重症化リスクはかなり低いと言えますが、ゼロではありません

また、周りの友人が実は病気を持っていて、上記に該当する可能性だってあるのです。

インフルエンザ予防接種は、自分のためだけでなく、人のためでもあるんですね。

 

それでもワクチンが効かない気がする

ここまで読んでも

棒磁石
棒磁石

やっぱりワクチン効かない気がするよ!!!

という頑固な方、マーフィーの法則、と言うのをご存知でしょうか。

「自分が傘を持たずに外出した時に限って雨が降ってくる」気がしてしまう法則です。

雨に打たれる女性

人間の「認識」という部分に訴えかけると、以下の4パターンがあります。

    1. 予防接種をしなかったが、発症もしなかった
    2. 予防接種をし、発症しなかった
    3. 予防接種をしなかったら、発症した
    4. 予防接種をしたが、発症した

1番目のパターンは、成功体験として人間の記憶には強く残りやすく、「自分は予防接種が無くても発症しない」という謎の自信とともに記憶されます(※発症しなかったのは偶然です)。

2番目のパターンは、大して記憶に残りません。

だってインフルエンザにかかっていないんですから、あまり意識しないでしょう。

3番目のパターンは、「予防接種しなかったせいかな」と多少記憶に残ります。

4番目のパターンは、「予防接種したのに発症したんだけど(#^ω^)」と非常に強く記憶に残ります。

 

つまり、

    1. 予防接種をしなかったが、発症もしなかった⇒「予防接種はいらない」
    2. 予防接種をし、発症しなかった⇒忘れる
    3. 予防接種をしなかったら、発症した⇒「予防接種受けようかな」
    4. 予防接種をしたが、発症した⇒「予防接種なんて効かない!!」

となり、予防接種が不要だ!という方向に人間は認識してしまう傾向があります。

おまけに、人間は「損」を避けたがる生き物なので、「予防接種をしたのに効かない」という結果を強く嫌います。

そのため、総合的に判断して「効かないから接種しない」と判断してしまうんです。

医師の聴診器

接種のデメリットは、注射が痛いのとせいぜい数千円がかかるくらいです。

(ごく稀にアナフィラキシーの副反応が出ることがありますが、接種後30分程度は医療機関の中で待機するよう指示が出ると思うので、万が一の場合も対応してもらえるはずです)

インフルエンザの予防接種を受けることは、周りの人や家族、友人を守るための優しさなんじゃないでしょうか。

 

ワクチンを接種しない人の主張

主張する男性

最後に、ワクチンを接種しない様々な人の主張に対して、コメントしていきたいと思います。

予防接種に行く経済的・時間的な余裕がない

こればっかりはあなたのせいではなく、社会的な問題ですね。

医療に携わるものとして、こういった点を考慮に入れて学習を進めなければならないと痛感します。

 

ワクチンを接種しても感染した or 接種する方が感染する気がする

少なくとも、「接種する方が感染する」のは気のせいです。

現在使用されているワクチンは「不活化ワクチン」で、インフルエンザの感染を起こすものではありません

インフルエンザワクチンを接種しても、絶対に発症しない、というものではありませんし、接種後1か月くらい経過しなければ効果は出ません

それまでの期間に感染したか、または純粋に先ほどのマーフィーの法則によって、接種後に感染したことが強く記憶に残っているだけだと思います。

 

自分はインフルエンザにはかからない

それ、本当に言えますか?

インフルエンザを発症したことが人生で一度もない、と言う人もいますが、感染しても発症しなかっただけかもしれませんよ??

自分の感染リスクが低いと言ってワクチンを接種しないのは、あなたの周りにいるかもしれないハイリスクの人や、何らかの事情で予防接種を受けられない人の感染リスクを上げていることになります。

 

妊娠中は赤ちゃんに影響があると困る

妊婦さんは先ほどで言う「ハイリスク群」に該当し、合併症リスクが高いため、基本的にワクチン接種が推奨されます

また小規模な調査ですが、ワクチンにより先天性の異常の発生率が高くなることはない、という報告もあります。

ここに関しては、担当の医師としっかり相談して判断してくださいね。

 

最後に

いかがでしたでしょうか?

インフルエンザワクチンに関するあれこれを書いてみましたが、皆さんが判断を下す上での参考になっていれば嬉しいです。

それでは、本日もお読みいただきありがとうございました!

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