【薬学生の考察】オンライン服薬指導に対して思うコト

医療記事

おはようございます。棒磁石です。

東京は雨が降っていますが、ここのところ不安定な天気が続いていて嫌ですね。

 

先日、以下のような記事がニュースで出ていたのをご覧になった方もいるかと思います。

厚労省:医師処方薬、配送可能に - 毎日新聞
 患者がスマートフォンやタブレット端末で薬剤師の説明を受けて処方薬を自宅に配送してもらえるよう、厚生労働省が医薬品医療機器法(薬機法)を改正する方針を固めた。来年の通常国会に法案提出し、早ければ2020年春の実施を目指す。医師によるオンライン診療は既に一部始まっており、今回の法改正により薬剤師の「オ

「医師の処方薬が配送可能になった」という言葉の意味するところは、

「薬剤師が必ずしも対面で服薬指導を行わなくてもいい」

ということになります。

次の法改正で本当に実現するかもしれませんね。

 

つまり、患者さんから見ると、以前は病院⇒薬局と移動していたのが、遠隔で診断、処方してもらい、薬局にはいかずに帰宅、薬はタブレット上で説明してもらい、薬局に届けてもらう、という形が実現しつつあるということになります。

 

医師による処方箋発行、薬剤師の服薬指導の2か所がオンラインに

 

患者さんから見ると一見すごく便利なのですが、それで患者の健康を害してしまうことがないだろうか?という部分が争点になります。

 

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オンライン服薬指導って何ぞや?

概要

現在の薬機法(旧薬事法)では、市販薬(一般用医薬品)であれば通信販売で買えますが、医師が処方する医療用医薬品は、薬剤師による対面の服薬指導が義務付けられています。

 

医薬品医療機器等法

第9条の3(調剤された薬剤に関する情報提供及び指導等)

薬局開設者は、医師又は歯科医師から交付された処方箋により調剤された薬剤の適正な使用のため、
当該薬剤を販売し、又は授与する場合には、厚生労働省令で定めるところにより、
その薬局において薬剤の販売又は授与に従事する薬剤師に、
対面により、厚生労働省令で定める事項を記載した書面を用いて必要な情報を提供させ、
及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わせなければならない。

医薬品医療機器等法

 

皆さんが薬局に行った際に、薬剤師が薬を持ってきて、「最近どうですか?」と聞きながら、お薬の使い方について説明してくれると思います。あれが服薬指導です。

薬物療法のプロである薬剤師にとって、非常に重要な仕事ではあるのですが、

 

 

●病院に行った後に患者の時間が大幅に取られる

 

●離島や山間部の僻地では、そもそも薬局が周辺に少ない

 

●そもそ価値ある服薬指導を提供できている薬剤師がどれくらいいるのか…?

 

 

といったような問題をはらんでいます(特に2点目は今後の日本で特に重要)。

このプロセスをタブレット端末などを用いてオンライン化できないか?というのが今回の争点になっています。

 

これまでとこれから

なぜ、反対もされるのか

オンライン服薬指導は、物理的・心理負担を軽減できる可能性があります。

しかし、患者の顔色、全体的な雰囲気などから読み取れる情報がなくなってしまいます。

そのようにして読み取れる情報が、患者の不安だったり、気付かれていない副作用の兆候だったりするのです。

そのこともあり、今年の夏に検証的に導入された「オンライン服薬指導」は、次のような条件が課されていました。

 

国家戦略特区法の一部を改正する法律(平成 28 年法律第 55 号)に基づき、
薬剤師による対面での服薬指導義務の特例として、国家戦略特区内で実証的に、

①離島、へき地に居住する者に対し、

②遠隔診療が行われ、

③対面での服薬指導ができない場合に限り、

④テレビ電話による服薬指導(いわゆる遠隔服薬指導)が可能とされた。

平成 30 年6月 14 日の国家戦略特別区域諮問会議において、
愛知県、兵庫県養父市及び福岡市における遠隔服薬指導の実施に関する計画が認定された。

国家戦略特区におけるいわゆる遠隔服薬指導への対応について(案) (2018/07/18), 厚生労働省

 

あまりに条件が厳しいですよね。

なんというか、検証的導入とはいえ、あまりに条件がきついと検証できないのでは…?とも思います。

 

医師の遠隔診療も含めて、一気通貫の遠隔医療へ

近年、医師の遠隔診療が条件付きで認められるようになりました。

「医師の特権」であった対面診療の原則を崩す際には、大変な反対がありましたが、これが認められて、医療機関を訪れなくとも医療サービスが受けられる、そんな時代へと一歩歩みを進めました。

 

医師の処方箋発行もオンライン診療により遠隔でできるように

 

今後、この国では確実に高齢者が今よりも増加し、僻地で1人暮らしをしているような人々にも医療の網をが届くように制度作りを行う必要があります。

そういったときに、近くに医療機関が無くても医療サービスを受けられる、そんな環境づくりは急務です。

結果的にVRなどの進化によって、オンラインの情報量も対面と遜色なくなってくるのではないか?そんな期待もしています。

 

安全性の面、薬剤師の権威という意味でも反対されるのは分かります。

しかし、オンライン服薬指導と対面指導の良さをそれぞれ折衷して理解し、薬剤師が「オンラインではこの患者は適切な薬物治療ができない」と判断した患者は、対面指導を行う、といったように、「距離」という要素を加味して患者の指導を行うことが、今後必要な姿なのではないでしょうか。

 

オンライン医療の最前線については、ちなみに、こういった本も発売されているので、ぜひ読んでみてください。

 

医薬業界と患者の歩み寄りへ

医療制度の崩壊に待ったをかけている現状、この国はどこへ向かうのでしょうか。

見慣れたグラフ 厚生労働省資料

平成28年度 国民医療費の概況(厚生労働省資料)

 

国民が健康意識を持ち、無駄な医療費を削減していくためには、医療を国民ともっと近いものへと変化させていく、そんな両者の歩み寄りが絶対に必要だと思います。

そのために必要なのは、「教育」と「情報開示」であると考えます。

患者は処方薬の名前すらわからない、そんな時代もついこの間までありましたが、だんだんと改善に繋がってきています。

 

今回の遠隔診療、オンライン服薬指導では、行ったことが全て「電子情報」として記録されることになります。

これは、立派な医療側からの「情報開示」になります

医療者からすると、記録が残ってしまうのは怖いことでもありますが、患者は症状の申告漏れなどに気付くことができるメリットがあります。

 

課題は山積ですが、この意味でも、私はこのオンライン服薬指導化に賛成です。

 

医療がより良い方向に変わっていくのは本当に嬉しいです。

今後の動向に注目すると同時に、私も情報発信を続けていきます。

 

最後に

本日も最後までお読みいただきありがとうございました!

この記事を読んで、少しでも医療のことに興味を持ってもらえればなあと思います。

今後とも応援よろしくお願いします!

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